母の父としてのディープインパクトの可能性を考える<その4>~キタサンブラックは何故ディープ産駒より強いのか?

不定期で書かせて頂いている「母の父としてのディープインパクトの可能性を考える」シリーズですが、
第4回は、今年GⅠに昇格した大阪杯を勝ったディープインパクトの全兄ブラックタイド産駒のキタサン
ブラックについて書いてみようと思います。

第二回で、ディープインパクト産駒の牡馬は、GⅠ2勝以上している馬が少ないという話をしましたが、
ディープインパクトより成績の劣る全兄(父も母も同じ兄)ブラックタイド産駒のキタサンブラックは、牡馬
でありながら、菊花賞、天皇賞(春)、ジャパンカップ、大阪杯とGⅠ4勝を挙げています。

では、本家ディープインパクト産駒よりいい成績を挙げているキタサンブラックの強さの秘密はどこに
あるのでしょうか?

先ず、キタサンブラックの6代血統表を見てみましょう。

kitasanblack6.jpg
I理論的には、Lyphard(リファール)4×4の中間断絶クロスを主導にしたシンプルな配合です。
この形態は、ディープインパクト産駒でも、GⅠ7勝を挙げているジェンティルドンナと同じ形態です。
生産は、昔のシルクHCでシルクヒーローなどでお世話になったヤナガワ牧場。
半兄に、サムソンズプライドが負けたショウナンバッハなどの活躍馬が出ている。

ShonanBach6.jpg

jentildonna6-2.jpg
ジェンティルドンナは、母の父のNorthern Dancer(ノーザンダンサー)の位置が4代目にあり、Lyphard
(リファール)主導がキタサンブラック程明確ではありませんでしたが、Lyphard(リファール)クロスを
4代目の位置で作ることが、ディープインパクト=ブラックタイド産駒の成功パターンであるという事は
言えると思います。

これは、父ディープインパクトの主導が、Almahmoud(アルマームード)4×6であり、

deepimpact6.jpg

その母ウインドインハーヘアの主導が、Court Martial(コートマーシャル)4×5であるので、

Windinharhair6.jpg

Lyphard(リファール)クロス内に、父とその母の主導となるキーホースをまとめることが出来る
ので、このクロスは、有効に作用していると言えます。

通常の血統理論では、ディープインパクトの方が、牡馬三冠をはじめ、古馬GⅠ4勝で計GⅠ
7勝しているディープインパクトの方が、優秀な産駒が出るはずで、同じ血統でも、GⅠ勝利
の無いブラックタイド産駒は、それ程活躍馬は出ないのでは?というのが、一般的な見方だ
ったと思います。

自分も、ディープインパクトの産駒は高いので、同じ血統のブラックタイドやオンファイア産駒
でも強い産駒が出せると思い、先日残念ながら引退となってしまったブラックタイド産駒で
ウインバリアシオンの半弟、ダンスールクレールに出資しましたが、キタサンブラックの様な
活躍はできませんでした。

danseurclair6-yno.jpg

しかし、キタサンブラックというディープインパクト産駒以上の成績を残す産駒が出てきたこと
で、ブラックタイド産駒でも、配合が良ければ、ディープインパクト産駒以上の活躍馬も生産
できることを、キタサンブラックは証明してくれたわけですから、その功績は大きいものがある
と思います。

しかし、他のブラックタイド産駒がイマイチなのに対し、1頭だけ、GⅠを4勝もするキタサンブラック
の様な大物が出てきたのでしょうか?

もちろん、オーナーである大演歌歌手の北島三郎さんのネームバリューもあるでしょう。
しかし、北島さんは、長年、馬主をされながらも、キタサンブラックが出るまではGⅠを勝った
ことが無かったことに注意する必要があると思います。

ディープインパクト産駒は、先日のドバイターフで世界の牡馬を一蹴した牝馬のヴィヴロスの
様に、牝馬に大物が出やすい種牡馬であることを見て来ましたが、

Vivlos6.jpg

キタサンブラックは、牡馬ですので、優秀なX染色体は母シュガーハートからしか遺伝しません。
つまり、キタサンブラックの強さは、母シュガーハートにあると考えられるのです。

X-Factor-KitasanBlack6.jpg
キタサンブラックのX染色体の遺伝経路上で、強い影響をもっているのは、

ノーザンテースト(Lady Angela3×2):25%
クリアアンバー(Bull Lea3×3):25%
Victora Queen:25%
Lyphard:12.5%
Tizna:12.5%

であり、母の父で名スプリンターのサクラバクシンオーの母サクラハゴロモの影響が強いことが
わかります。

SugerHeart6.jpg
さらに、シュガーハートは、X染色体の経路上で、カナダ年度代表馬Victoria Park(ヴィクトリアパーク)
5×4のクロスがあり、ノーザンテーストやジャッジアンジェルーチの母父Victoria Parkの優秀なX染色
体を受け継いでいるのです。

一般的な血統理論ですと、

「何故、短距離GⅠホースのサクラバクシンオーの孫から、中~長距離GⅠを勝つキタサンブラック
が出るのか?これは、突然変異じゃないか!?」


と言う方もいると思いますが、サクラバクシンオーは、英二冠馬Hyperion4×5を主導にした馬で、
本来であれば、中距離もこなせる適性がありました。(マイル以上で勝てなかったのは、ノーザン
テースト内のカナダ系の血がクロスにならず弱点となったことが原因と言われていますがサクラ
バクシンオーが母父になり、ノーザンテーストの位置が2代目から4代目に後退したことで、弱点
の影響が軽微になり、Hyperionのスタミナのみの影響が強くなったことが、キタサンブラックに
長距離適性が出ている原因かと思います。

SakuraBakushinO6.jpg

さらに、バクシンオーの母サクラハゴロモは、菊花賞や有馬記念を勝ったステイヤーアンバーシャダイ
の全妹であり、その母クリアアンバーは、Bull Lea3×3のスタミナを持つダブルコピー牝馬でした。

ClearAmber6.jpg
Bull Leaは、I理論でも、ステイヤーのライスシャワーの主導となる様なスタミナを持つ馬であり、リゾネーター
の主導であるAlydarの母Sweet ToothもX染色体の経路上でBull Lea3×3を持つダブルコピー牝馬でした。

SweetTooth6.jpg

こうして、クロスされている馬を丁寧に見ていくことで、キタサンブラックがスタミナのある馬である理由が
解ってくるのです。

母父がサクラバクシンオーと言えば、先週シルクHCで勝利を挙げたインビジブルレイズがいます。

InvisibleRays6.jpg
母クレバースプリントは、X染色体の経路上にノーザンテースト3×3を持つダブルコピー牝馬で、
父ハーツクライの母父トニービン×ノーザンテーストの配合からエアグルーヴやサクラチトセオーな
どが出ているニックスを2重に持っていました。

CreverSprint6.jpg

ノーザンファーム生産ではないですが、母父マルゼンスキーも含め、Xファクター的には面白い馬だ
ったので、出資候補だったのですが、同じく候補にしていながら、買えなかったリゾネーター共々、今後
の活躍を見守りたいと思います。

母父サクラバクシンオーではないですが、その全妹ラトヴィアータを母の母に持つリビアーモの15改め
マグナレガーロなどは、ベガやサクラハゴロモからスタミナ要素を受け継いでいると言えるかもしれませんね。

MagnaRegalo6.jpg

キタサンブラックは、今年度で引退予定でしたが、種牡馬としての箔をつけるため、来年度も現役続行が
決定した様なので、今後とも、ディープインパクト産駒相手に、最強のバッタもんとして、頑張って欲しいと
思います。

2 Comments

だらりんだいら  

長谷川様、こんばんは。

キタサンブラックの配合解説、ありがとうございます。
サクラバクシンオーは、気性の面で距離が持たないのかなと当時思ってましたが、
血統面からもカナダ系の血がクロスにならず弱点があったのですね。
母父になる事で、影響の度合いが変化する…うーん、奥深いです。


長谷川様も、リゾネーター・インビジブルレイズが出資候補だったのですね。
実は自分もでして(苦笑)

リゾネーターの父、Blameが、Roberto・Danzig・Mr. Prospector・Specialと、
自分好みの血が入っているので気になってたんです。
アーチキングの父、Archarcharchも同じ様な血統なので気になってたんですが、
結局どちらも出資しなかったんですよね。
当時のくりがしら様のブログにも、今後は「ダンジグ×アリダー」と書かれていたのに…


インビジブルレイズも、緩いハーツクライに、ノーザンテーストのクロスに
マルゼンスキーとパワーのありそうな母は合いそうだと思っていました。

こちらは自分が同じ様な距離適性になるであろう、キラーコンテンツに出資
していたので、諦める事にしたのでした。


あぁ、やっぱり自分が出資を諦めた馬は走るのですね(笑)


PS. ヴェロニカグレース、順調に馬体重も増えて、今まさに成長期でしょうか。
先月の動画は、余裕がありながら15秒を出していて、これは期待せずにはいられません。

2017/04/04 (Tue) 20:49 | EDIT | REPLY |   

長谷川枕山堂  

いいと思った時に出資 できる決断力も必要?

★だらりんだいらさん、こん**は。

>キタサンブラックの配合解説、ありがとうございます。
>サクラバクシンオーは、気性の面で距離が持たないのかなと当時
>思ってましたが、
>血統面からもカナダ系の血がクロスにならず弱点があったのですね。
>母父になる事で、影響の度合いが変化する…うーん、奥深いです。

長文お読み頂き、ありがとうございます。
サクラバクシンオーの距離が持たない理由がカナダ系の弱点と言って
いたのは、本家I理論の久米氏の受け売りです。(^^

ノーザンテーストが4代目に後退することで、近親度が弱まり、近親
配合馬の弱点が解消されるという考えは、I理論独自の考えかもしれ
ませんね。

>長谷川様も、リゾネーター・インビジブルレイズが出資候補だった
>のですね。 実は自分もでして(苦笑)
>リゾネーターの父、Blameが、Roberto・Danzig・Mr. Prospector・
>Specialと、自分好みの血が入っているので気になってたんです。
>アーチキングの父、Archarcharchも同じ様な血統なので気になって
>たんですが、結局どちらも出資しなかったんですよね。
>当時のくりがしら様のブログにも、今後は「ダンジグ×アリダー」
>と書かれていたのに…
>インビジブルレイズも、緩いハーツクライに、ノーザンテーストの
>クロスにマルゼンスキーとパワーのありそうな母は合いそうだと思
>っていました。

リゾネーターは、アメリカ系主体ですが、日本でも実績のある血が
多くて、昔お世話になったシルクヒーローがDanzig×Alydarの配合で、
Alydar主導が魅力でした。外国産は半信半疑で値段も高かったので断念・・・

インビジブルレイズも、母がコテコテの日本血統でしたが、Hyperion
の血が多い、サクラバクシンオー、ノーザンテースト×2本に、父の
母父トニービンのニックスが魅力でした。ノーザン生産ではなかった
ですが、ノーザンF外生産でも、配合のいい馬は要注意ですね。

>こちらは自分が同じ様な距離適性になるであろう、キラーコンテンツ
>に出資していたので、諦める事にしたのでした。
>あぁ、やっぱり自分が出資を諦めた馬は走るのですね(笑)

出資については、自分も、余程のことがないかぎり、育成をじっくり
見てから出資する様にしていますが、最初に高い馬に出資してしまい、
後で予算オーバーで買えないという感じにならない様にすることも必要
ですね。リゾネーターやインビジブルレイズは、いいと思った時に出資
できる決断力も必要は気がしますが(笑)。

>PS.ヴェロニカグレース、順調に馬体重も増えて、今まさに成長期で
>しょうか。
>先月の動画は、余裕がありながら15秒を出していて、これは期待せず
>にはいられません。

ヴェロニカグレース、3月の動画は、良かったですね。コメントは、
辛口でしたが、15-15ということは、今一番進んでいる組だと思い
ますので、意外と早めにデビュー可能かもしれませんね。

シルクさんとしては、それまでになんとか満口にしたいので、 販促コメ
ント出されていますので、既出資者としては、早めに満口になるくらい
に人気出て欲しいところですね。この馬もHypeionの多さならインビジブ
ルレイズに負けていませんので。

↓You Tubeのコメント:
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アドマイヤサンデーの孫にあたるミザイが3月18日の阪神競馬でデビュー戦
を快勝!牝馬ながら父の産駒らしい恵まれた体をしており、ダイナミックな
走りを披露しています。
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2017/04/05 (Wed) 10:58 | EDIT | REPLY |   

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